                        |
|
 |
|

|
|

― 構造体には変形に強いドライ・ビームを推薦します ― |
クリープ
変形挙動試験
(木材の水分と変形の関係) 信州大学 農学部 教授 武田孝志
昔から化粧柱や造作材に乾燥材を使用するのは、常識でした。しかし今日構造部材においても乾燥材の必要性が叫ばれるようになってきました。これは、現在のように工期に厳しい制約があると、かつてのように軸組みを組んだ後に徐々に各部材を乾燥させるということが困難になってきているということが大きな要因です。住宅の横架材(梁や桁など)に未乾燥材を使用した場合、クリープたわみに加え、梁背の乾燥収縮によって床面にひずみを生ずることがあります。
このような軸組構造体のクリープ変形挙動における乾燥材と未乾燥材の差異を明らかにするため、信州大学農学部において実際に試験体を設置して平成6年から9年にかけて試験を行いました。この試験の目的は、木造住宅に使用される梁を対象として、人工乾燥材と未乾燥材の比較を行うことにより木材と水との関係を探ることです。
|
 |

試験方法 |
材サイズ
|
(幅×梁成×長さ)105×240×4000mm
|
試験材
|
・ドライ・ビーム ・未乾燥材
|
負荷荷重
|
956kg
|
|
試験結果(たわみ)
|
|
長期継続荷重によるたわみ
(ドライ・ビームVS未乾燥材)
|
 |
|
この試験結果から言えるのは、工期に制約のある場合、乾燥材を使うほうが望ましいということです。 |
実際には軸組みが完成した直後からこの試験で用いたような大きな荷重が梁にかかることはありませんが、乾燥材と未乾燥材のクリープ変形挙動が大きく異なること及び未乾燥材は乾燥材と比較して梁背の収縮量が大きいことから、未乾燥材のほうが乾燥材より床面のゆがみなどが生じる可能性が高いと考えられます。したがって施工面では工期に制約のある場合は乾燥材を使うほうが望ましいということになります。 |
 |
|


表面割れは乾いた木材(乾燥材)の証明です。強度性能に影響ありません。水分をたっぷり含んだ木材(生材)には表面割れがありません。木材は乾いていく過程で、繊維方向による寸法収縮率が異なるために割れが発生しますが、木材は乾燥することで耐朽性と強度が高くなります。
|
日本農林規格(JAS)
表面割れは基本的に強度(曲げ、圧縮、引張)に影響がありません。そのため『針葉樹の構造用製材の日本農林規格』では、割れに関する制限は貫通割れのみが対象となり、表面割れは項目から除外されています。
|
構造材の干割れを力学的性質
宮崎県工業試験場・荒武氏の「構造材の干割れと力学的性質」によると、干割れは曲げ強さ及びヤング係数(たわみ)には影響せず、むしろ乾燥する過程で干割れを生じ易い材のほうが強度的に優れている可能性があると報告されています。
(木材工業
Vol.51,No.11,1996/『構造材の干割れと力学的性質』より)
|
|
 |
下記測定値グラフからも分かるように、表面割れによる強度低下は認められませんでした。平均曲げ強度においては、割れなし材を上回る測定結果となりました。
|
|
 |
|
平均曲げ強度(N/mu) |
本数 |
表面割れ材 |
55.95 |
30 |
割れなし材 |
41.02 |
30 |
|
以下、比較数値として参考までにJAS規格目視等級区分の基準強度を記します。 |
[参考基準] 基準強度※
基準強度(建築基準法施工例 第89条第2項) |
樹種 |
区分 |
等級 |
強度基準
曲げ(N/mu) |
べいまつ |
目視等級区分 |
甲種2級 |
22.8 |
|
※無欠点小試験体の強度試験結果に基づいた統計的下限値のことです。
樹種別・等級別に基準強度値が定められています。
|
 |
|