
第55回日本木材学会大会(京都)にて発表
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ハイブリッド・ビーム(異樹種集成材)の基本的な材料性能は、適切な製造管理により担保できるが、仕口部でスギが接触することに疑問を感じるとのご質問を多く頂いております。
そこで当社では、ハイブリッド・ビームを用いた在来蟻仕口の性能を比較試験により確認しました。
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試験方法 |
試験体 |
試験は実際の条件に近づけるため、オス梁・メス梁・柱を組んだもので行った |
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変位測定 |
変位は各仕口の両側と中央部直下の5箇所で測定した |
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試験材料のオス梁とメス梁にはハイブリッド・ビーム、レッドウッド集成材E120を用いた。 試験条件の一覧は下記のとおり。 |
試験体名 |
仕口形状 |
オス梁寸法 |
メス梁寸法 |
柱材 |
数 |
蟻1 |
蟻(柱おとし) |
270 |
150 |
米松EW 105×105 |
各4体 |
蟻2 |
兜蟻 |
270 |
210 |
蟻3 |
蟻 |
270 |
270 |
蟻4 |
270 |
360 |
蟻5 |
270 |
270 |
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各試験条件の設定理由は以下のとおり |
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蟻1 |
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蟻2 |
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柱落としになっており、ハイブリッ・ビームではオス梁の腰掛部がベイマツ部で柱と接触
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兜蟻仕口でハイブリッド・ビームでは腰掛部がオス・メス梁ともにベイマツ部で接触
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蟻3 |
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蟻4 |
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同寸梁成同士の蟻仕口で、ハイブリッド・ビームでは腰掛部がオス・メス梁ともにスギ部で接触
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メス梁成の方が大きい場合で、ハイブリッド・ビームでは腰掛部がオス梁のベイマツ部とメス梁のスギ部で接触
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蟻5 |
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オス梁成は小さいが、腰掛部分の面積が“蟻3”と同一、ハイブリッド・ビームでは腰掛部がオス梁のベイマツ部とメス梁のスギ部で接触 |
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▼詳しい試験結果は画像をクリックしてください |
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試験結果により求めた片側仕口あたりの短期接合耐力(日本住宅・木材技術センター刊「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」に準拠)の一覧を表1に示す。
表と結果一覧のグラフ(図1)を見ていくと“蟻1〜3”ではハイブリッド・ビーム≒レッドウッド集成材、“蟻4”ではレッドウッド集成材>ハイブリッド・ビーム、“蟻5”ではハイブリッド・ビーム>レッドウッド集成材という傾向を示した。
しかし、蟻仕口の性能は、めり込み強度、せん断強度、割裂強度などが絡み合った結果であり、オス梁成とメス梁成の組み合わせによっても大きく変わる。そのため、個々の仕口形状の違いによる挙動の差を詳細に追求していくことは難しい。そこで、実用的にはこれらの結果を概観し、
“ハイブリッド・ビーム≒レッドウッド集成材”という関係だと考えて問題はないと思われる。 |
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図1 変位−荷重曲線一覧
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表1 短期接合耐力一覧
仕口形状 |
片仕口に対する試験結果の短期接合耐力(kN) |
ハイブリッド・ビーム E105 |
レッドウッド集成材 E120 |
蟻1 |
28.8 |
25.4 |
蟻2 |
24.3 |
23.2 |
蟻3 |
22.1 |
21.5 |
蟻4 |
22.5 |
29.2 |
蟻5 |
24.1 |
20.6 |
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